派遣社員というのは社会的な立場が危うい存在

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派遣社員というのは社会的な立場が危うい存在です。派遣先の企業の業績によってその立場が大きく左右されてしまうからです。
そもそも企業はなぜ派遣社員を雇うのでしょうか。単純に言えば、コストが安く済むからです。例えば、新卒の大学生を正規社員として雇った場合、その社員が戦力になるように一から育成しなければなりません。ビジネスマナーの「いろは」から、営業の仕方、得意先との交渉…とにかくあらゆることを教えなければなりません。正直言って最初の数年は役に立たない可能性の方が高い。それなのに、毎月決まった額の給与を支払ってあげなければならず、福利厚生も充実させなければならない。それはもうお金が掛かる訳です。しかしながら、「使えない」からと言って、企業側がその人を直ぐに「クビ」にすることもできない…。
一方、派遣などの非正規社員であれば、状況は違います。人材派遣の場合、社員を初めから育成しなければならない訳ではなく、ある程度の能力や知識を兼ね備えた人材が派遣されてくるので、手っ取り早く戦力になってくれるケースが多いのです。しかも、正社員と比べて賃金や福利厚生の面で厚遇してあげる必要もありません。さらに、なんといっても派遣社員の使い勝手の良さは、その気になればいつでも「クビ」に出来るということです。いわゆる「派遣切り」と呼ばれる事象です。企業側からすれば、使いたい時だけ使って、いらなくなったら捨てることの出来る存在、すなわち「雇用の調整弁」として派遣は認識されているのです。

雇用の調整弁である派遣社員。その厳しい現状は当面変わりそうもありません。派遣先の企業が好調ならば問題ありませんが、一度でも不調に陥ると、人件費削減のため真っ先にクビを切られるのが派遣社員です。では、派遣社員が不安定な生活から脱するためにはどうすれば良いのでしょうか?一番単純な答えは、やはり正社員になることです。…ですが、今のご時世、正社員だからといって永遠に安定しているわけでもありません。正社員だって使えなければクビですし、企業の業績が苦しければリストラされるでしょう。そこは派遣だろうが正社員だろうが変わりません。むしろ、派遣社員の方が不安定ではあるけれども身軽であり、いろいろな仕事を経験できると言えるかもしれません。物は捉えようです。現在派遣社員で、「一寸先は闇」状態にあったとしても、決して悲観してはいけません。意外なところに明日への希望が転がっているものですよ。